03.26
2023年9月のプレゼンテーション
2023年9月はスタッフHがプレゼンテーションを行いました。
タイトルは「利用者さんに勧められた本を読んでみたら」です。
これを選んだ理由は、普段全くと言っていいほど本など読まない私が、利用者さんに勧められた本をいざ読んでみたらその内容に引き込まれ、自分に刺さる言葉が多くあったので、ステーションのスタッフにこの感動を知ってもらいたいと思ったからです。
勧められて読んだ本は
「死ぬまで生きる日記」 土門 蘭 著
この本は、20年以上うつ病で苦しみ、いつも「死にたい」と感じている筆者土門蘭さんのエッセイ(ノンフィクション)です。
内容としては、コロナ渦でふとした事をきっかけにオンラインカウンセリングを受けた筆者と、カウンセラーとの2年間のやり取りを書き残したものでした。
プレゼンではこの本の中で印象に残った言葉や、利用者さんへの対応で日々悩んでいることの、解決へのヒントになりそうな言葉を中心に紹介しました。
内容は以下の4点です。
①自分が自分に受け入れられた
②人は螺旋状に変化していく
③解決しようと思わなければ問題じゃなくなる
④終わるのではなく変わる
- 自分が自分に受け入れられた
「自分が自分に受け入れられた」という感覚は、とても深い安心感を与えてくれます。自分の感情を否定したり変えようとするのではなく、ありのままを絶対的に受け入れてくれる存在に、自分自身がなること。それが大事だということが分かりました。
自分の中に起こった感情に対して、否定も肯定もせずただ受け入れるだけ。そうする事によって大きな安心感・安全感が自分の中に生まれます。それはまさしく今私たちがやっている訪問看護の空気感そのものであり、訪問の現場でも、利用者さんに対して同じように受け入れて行けばいいんだなと思えた瞬間でした。
- 人は螺旋状に変化していく
この「人は螺旋的に変化していく」という言葉と、「視点を変える事が大切である」という考え方を目にしたときに、私は担当をしていた利用者さんで、急に訪問を辞めてしまわれた方の事を考えました。私はその方の辞めてしまった理由や経緯について、納得のいかない思いがあったのですが、自分の思いが強すぎるがゆえに、見えていないものが多かっただけだったんじゃないかと考えさせられました。また今回の終了は、もしかしたら螺旋状に変化をしていくプロセスの中での、前向きな終了であったのでは?と思えるようになりました。
また他の訪問看護で関わっている利用者さんは、この視点を変えて見ることによって、揺れ動くこともありながらも確実にステップアップしていることが見て取れました。それは螺旋階段を必死に上っている利用者さんを、少し離れた位置から見ることができる私たちだからこそ、気づける変化だと思ったのです。
- 解決しようと思わなければ問題じゃなくなる
私はこの言葉を読んで一瞬意味が分かりませんでした。「問題って、解決しようとするから問題なのであって、解決しなくてもいいやと思ったら、ただの事象になるんです。だから、ただただその感情を受け入れるしかなくなるんです」とカウンセラーは言いました。私は雷に打たれたかのような衝撃が走り、そうか、今の自分のままでいいんだ。変わろうと頑張らなくていいんだ。と思えたんです。そう思えるようになってからは、自分を苦しめていたものから解放されたような感覚となり、利用者さんの価値観を素直に受け入れられ、尊重できるようになりました。
- 『終わる』のではなく『変わる』
この本の筆者とカウンセラーの2年間のやり取りののち、最終的にどうなったかというと、カウンセラーさんの個人的な事情でカウンセリングが終了になります。筆者はカウンセラーがいなければ、また元に戻ってしまうんじゃないかと揺れ動きます。カウンセラーはそれに対して「終わるってどういうことなんでしょうか」と筆者に問いかけました。
2週間考えても答えが出ない筆者に対して、カウンセラーはこう伝えました。
「カウンセリングで得た気づきを、日常生活に活かす。そうしている間は、カウンセリング以外の時間であっても、ずっとカウンセリングが起こり続け、深まり続けているんです」と。
私はこの話を読んだときに、週に一度の訪問の中で出来る事は限られていますが、そこでの気づきや学びを次の訪問までの一週間の中で思い返すことで、看護は継続しており深まっていくものだと感じました。
今回はたまたま利用者さんに勧められた本で感銘を受けたことを伝えましたが、今後も本に限らずなるべく多くの物に興味を持ちながら、そこで得た気づきや感動を広めて行けたらと思っています。
PS.勉強会への参加は誰でもできます。興味のある方は「問い合わせ」から、ご連絡を。皆様の参加をお待ちしております。