09.21
2023年7月のプレゼンテーション
2023年7月はスタッフFがプレゼンテーションを行いました。
タイトルは「音のない世界の人とのコミュニケーション」です。これに選定した理由は、自分自身が吃音を持っておりコミュニケーションが難しさと生きにくさを感じることがあります。
現在、要約筆記講習に受講していて、聴覚障害について触れる機会があります。音のない世界の人とのコミュニケーションとは、どんな世界なのかを知ることで、訪問看護に活用してもらいたいと思ったからです。
「音や声がある世界の人」はごく自然に聞こえています。
「音や声のある世界」は「音声」がひっきりなしに飛び交い、そこにいる世界の人はそれをキャッチするのが自然なことです。
しかし、聴覚に障害があると音を聞き取ることができにくくなります。聴覚障害者の悩みは、まず周囲からの音声情報が入りにくくなることです。“相手の言っていることがわからない、みんなが知っていることを自分だけ知らされなかった、そこで、もう一度言ってもらい何が起こったのか尋ねてみる。しかし、聞き取りにくいので、また繰り返してもらう、そして、なんとか理解したつもりでいたら、聞きまちがえていたらしく、とんちんかんな応対をしてしまった”。このようなやりとりが続くうちに相手もうんざりしてしまうものです。
聴覚障害がある方は、日常生活を送る上でさまざまな困りごとを抱えているケースがほとんどです。
ここでは、その困りごとの例を紹介していきます。
・生活音を聞き取ることができない
聴覚に障害がある方は、生活音を聞き取ることができません。
自分の起こす生活音がどの程度の大きさであるか本人は知ることができないため、知らないうちに隣人に迷惑をかける結果となりご近所トラブルに発生してしまう可能性や、インターフォンの音に気付くことができないといった問題が起こる可能性が高くなります。
・人と会話するのが難しい
聴覚障害を持つ方のコミュニケーション方法としては、筆談、手話、口話の3つがあります。
筆談はほとんどの人とコミュニケーションをとることができますが、コミュニケーションのスピードが非常に遅くなります。
手話については、理解してくれる一般の方が少ないという問題があります。
そして口話ですが、コロナ禍にある現在ではマスクをする機会が多いため相手の口元を見ることが難しく、スムーズにコミュニケーションをとることが難しくなっています。
・周囲の情報を得ることが難しい
聴覚障害の方は、周囲の情報を得ることが難しいといった問題もあります。
周囲の音による情報には、電車のアナウンスや車のエンジン音などが含まれるため、日常生活を送る上で大きな不便を感じてしまいます。
聴覚障害がある方は、音による重要な情報をキャッチすることができない可能性があるため、時には命に関わる問題になるケースもあります。
・障害が外見から分かりにくい
聴覚の障害は、外見から判断することができません。
見た目からでは特徴があるわけではなく、その障害が分かりません。
例えば、職場や学校に向かう通勤・通学路で 1日に何人の聴覚障害者とすれ違っているか把握できている人はいないはずです。見た目では聞こえる / 聞こえない、障害がある / ないは判断ができないからです。
・複数人での会話の流れを理解しにくい
聴覚に障害がある方でも、一対一のコミュニケーションであれば比較的問題なく行うことができます。
ただし、複数人での会話の場合には今、そして次に誰が発言するか分からないため、会話の内容を把握することができず、会話全体の流れを理解しにくくなってしまいます。
・音声通話ができないため緊急時の対応が難しい
聴覚障害の方は、音声のみによる会話が難しいケースがほとんどです。
そのため、110番や119番に通報することや、エレベーターの非常停止ボタンを利用して、音声によって状況を伝えることができません。
コミュニケーション方法には、どんなものがある?
補聴器・人工内耳、筆談・要約筆記、手話、 手話通訳、読話、空書、身振りなどの方法があります。それ以外に翻訳アプリ (UDトーク 、YYProbe)があります。
会話する時のポイントは以下の通りです。
(1)常に顔の見える位置で(マスクを外す)
(2)注意を促してから話す
(3)ゆっくり話す
(4)言葉のまとまりで区切る
(5)普通の声の大き
(6)雑音を少なく
(7)補聴器を使っている方には話し方の工夫を
伝わりにくいときの工夫は、以下の通りです。
(1)手がかりになることばを挿入してみましょう
(2)筆談や身振りなど、他の方法も使う
(3)何の話をしているかを伝える
(4)わからないときは、いつでも聞き直せる雰囲気を作りましょう
(5)大事な内容を伝えるときは、書いて渡したり、復唱してもらったりしてする
PS.勉強会への参加は誰でもできます。興味のある方は「問い合わせ」から、ご連絡を。
皆様の参加をお待ちしております。